知的・感性的刺激に満ちた体験であった。
Mercure des Arts
新たな世代の感性が国境を超えて連携し、まだ見ぬ上演形式を導き出してゆく。
朝日新聞
「改訂初演」とした訳
2019年東京公演では、新しい会場に合わせた図った演出上の調整、作曲家 フランチェスカ・レロイによるスコアや台本の改善、生まれ変わった『THE鍵KEY』のために一新された振り付け等、多くの変更点があった。そこでソプラノ 工藤あかねから「再演」ではなく「改訂初演」として発表する提案があった。
振り付けを一新することになったのは、木村役に新しいダンサー綾香 詳三を迎えたため。実際は、2019年の東京公演ではダンサーだけでなく計4人の新たなパフォーマーを迎え入れ、各自それぞれが『THE鍵KEY』にユニークな演技・演奏スタイルで貢献した。フランチェスカは作曲者・演出者として、演者の創造的な解釈による演技・演奏を促し、参加するメンバーの持つ多様な経験を作品の中で生かすことに対して常に意欲的に取り組んでいる。彼女は幅広い分野や専門、伝統、ジャンルからのプロとアマチュアの演者が集まることで、大きな可能性を秘めた多様なキャストが生まれ、『THE鍵KEY』の一つの強みになりうると感じていた。このように新しいキャストによって世界初演とは異なる新しい『THE鍵KEY』が生まれ、「改訂初演」とした。
また、「再演」というのはいかなる 『THE鍵KEY』の公演にも相応しくないとも言える。3組のトリオがそれぞれ別室で、フレキシブルな開始・終了時間で同時に演奏し、それぞれのトリオには即興演奏や奏者が自身の解釈によって演奏するセクションがあるため、公演が全く同じになることは決してない。演者自身も各公演で新鮮さを感じ、組織的に進化していくプロジェクトに関われたことはとても刺激的だったとコメントした。
フィードバック
境界線が次第にぼやけていく水墨画のようなイメージ
妻の音楽モチーフは素敵だった
象徴的に出てきたカギですが、カギ穴から家の中を覗いているような気になりました。
2019年東京公演:改訂版
第19回(2019年度)「佐治敬三賞」受賞公演
公演|2019年5月19日18時~/5月25日14時~/5月26日14時~/5月26日18時~
会場|旧平櫛田中邸アトリエ(東京都台東区)
主催|「鍵」プロジェクト実行委員会/
助成|アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)・芸術文化振興基金協力|岡山県井原市、上野桜木旧平櫛田中邸、NPO法人たいとう歴史都市研究会、一般社団法人谷中のおかって, Whole Hog Theatre
出演者
夫トリオ
夫(バリトン):松平敬
尺八:松本宏平
コントラバス:椎名有紀子
妻トリオ
妻(ソプラノ):工藤あかね
チェロ:久保田佑里
笙:小島篤美
娘トリオ
娘(メゾソプラノ):野田千恵子
小鼓:小川実加子
ヴァイオリン:早川きょーじゅ
木村トリオ
木村(ダンス):綾香詳三
琵琶:久保田晶子
クラリネット:三宅博子
スタッフ
作曲・演出:フランチェスカ・レロイ
ドラマトゥルク:アレクサンドル・ルター
振付:石本華江
照明:植村真
企画制作:山下直弥
フライヤー・プログラムデザイン:山下絵里
撮影:西村明也
写真:隅本晋太郎
協力
旧平櫛田中邸アトリエ
平櫛田中(1872−1979)は日本の彫刻家。20世紀に1500年の歴史を持つ木彫を発展させた。1970年に故郷である井原市に住宅・アトリエを寄贈した。住宅は一般公開されていない。現在は、岡山県井原市、上野桜木平櫛田中邸アトリエ、NPO法人たいとう歴史都市研究会、アートマネージメントグループ「谷中とおかって」、東京藝術大学ボランティアによって維持・管理されている。